第31話 番神水(前編)
2005年12月04日 00:00
第31話 番神水(ばんじんすい) 前編 |
座間小学校の北東、円教寺(えんきょうじ)の東側にある崖(がけ)からわく水です。 |
レキ層がよく見える |
垂直に切り立った崖には大小さまざまなレキ(石)があります。ここが数万年前の相模川の川底だった証拠です。はっきりとはしていませんが、よーく見ると大きさの違うレキが層になっていたり、同じ方向を向いて傾いている(インブリケーションという)のがわかります。これで当時の川の流れる方向がわかります。 座間市内にいくつもあるわき水の中で、これほどレキ層がはっきり見えるところは他にありません。地下水がレキ層を通って崖から外に出てくるという典型的なわき水の仕組みがわかりますね。 しかしレキ層が垂直にむき出しになっているというのは危険でもあります。何かの拍子に崖がくずれたりレキが落ちてきたりするのです。平成17年にも軽トラック1台分ぐらいのレキが崩れ落ちました。そのために石で作った水神様のほこらが押しつぶされてしまいました。もし人間がいたら・・ 番神水のまわりはフェンスで囲ってありますが、これは神聖な場所をけがさないようにわき水を守るためだけではなく、崩れたレキでけがをしないように人を守るためのものでもあります。絶対に中に入らないで下さい。もちろん崖の上にも登らないで下さい。 |
5つの顔を持つ男・・じゃなくて持つ水 |
このわき水はわき出してからわずか数十m流れる間に何度も姿が変わります。 まず1番目は上に書いたレキ層からわき出した清らかな流れ。 2番目は防火用水。プール状の水槽には水草がゆれ、大きな鯉や金魚が泳いでいます。もし近所で火事があったらここから水を取るのですね。そうしたら金魚はどうなっちゃうんでしょう? 3番目は飲用も含めた生活用水。防火用水槽の端には水に触れられるように階段があります。水槽を通過してきた水は「飲んでみよう」とは思えませんが、昔はここから飲み水を汲んでいたそうです。お酒を造るのにも使われたとか・・・ 4番目は番神水公園の池。ここにはさまざまな生き物が生活できるように、特にトンボの幼虫、ヤゴが育つように工夫されています。といっても放っておいてもだめで、近所の皆さんがヤゴのえさやとりつく場所の世話をしていらっしゃるんだそうです。 5番目は飲用以外の生活用水。番神水公園の池から流れ出た水は民家の横を流れていきますが、それぞれの家の前には水路に板を立てて流れをせき止められるようになっています。そこにたまった水で野菜や食器を洗っていたのは龍源水と同じです。 |
目印は番神堂! |
このわき水は龍源水と並んでかなり有名で、多くの人が訪れます。しかし・・・・ 一部の人はまったく違う場所を見て番神水と思いこみ、そのまま気づかずに帰ってしまうのです。 小中学生の市内めぐりでは特にそういう人が多いとか・・・残念ですね。 「番神水は番神堂というお堂の横からわく」と、どの案内書にも書いてあるのですが、「番神水、行ってきたけど番神堂なんてなかったよ。壊しちゃったみたいだね。」なんて言われたらがっかり・・ なぜそんなことが起こるか?原因は道案内の石柱(せきちゅう)にあります。龍源院と番神水の間は400mほどあるのですが、この中間点、座間小の北東角から護王姫神社へ上がっていく道路に「番神水」とだけ書かれた石柱が立っているのです。知らない人はその石柱のある所を流れる水が番神水なのだと思い、(番神堂から流れてくる水ですからまったく間違っているわけでもありませんが)それを見て引き返してしまうのです。この石柱には「番神水 この北200m」とか書いてあればよかったのですが・・ これ以外にあとから立てられた石柱には方向を示す矢印が刻まれていてとても役に立っています。 |
さて、このわき水には驚くべき伝承があり、また番神堂というお堂が今もあり・・・ その辺の話は後編に続くのでありました! 必見! |
まめこぞう