第33話 番神水(後編) 三十番神
2006年02月26日 00:00
第33話 番神水(後編) 三十番神 |
三十番神とは |
毎日順番に日替わりで世の中を守って下さる三十柱(はしら:神様の数をかぞえるときは「人」ではなくて柱という単位をつかいます)の神様集団です。日直のような感じですね。この神様は毎月一日は熱田明神(あつたみょうじん)、二日は諏訪明神(すわみょうじん)というように担当する日が決まっていて、三十人で一回りしたらまた元に戻ります。 |
三十柱のそれぞれのお名前は次のとおりです。 (ついでにそれぞれの神様が本来まつられている場所もつけました。近畿地方に集中していますね。) |
座間 番神堂 三十番神 一覧 |
神様の名前は円教寺の解説によりますが、赤山明神は赤城明神となっているものを訂正しました。 |
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三十一日はどうするの? |
実は明治5年(1872年)12月より前、日本には「三十一日」という日は無かったのです。 今、世界中のほとんどの国で使われている暦(こよみ)は太陽の動きを基準にして定められた「太陽暦」(たいようれき)ですが、日本では月の満ち欠けを基準にした「太陰暦」(たいいんれき)をつかっていたのです。 月は新月から満月へ、また新月へと約29.5日周期(正確には29.53059日)で満ち欠けします。太陰暦はこの新月の日を1日(ついたち)として次の新月までを1月(ひとつき)と数えたのです。 (だから「ひとつき」は「月」という文字をつかうのです) 実際には29.5日という小数をつけるわけにはいかないので29日の月と30日の月をほぼ交互に置き、29日の月を「小の月」(しょうのつき)30日の月を「大の月」(だいのつき)といいました。微妙なずれの調整に、ときどき大の月を連続して置く事もありました。 しかしこのままだと1年が354日か355日で、太陽が1周する365日より10日以上短いために季節がずれていってしまいます。そこでときどき13番目の月を入れてずれをおぎなっていました。この13番目の月を「閏月」(うるうづき)といいました。 ですから昔は12ヶ月の年と13ヶ月の年があったということですね。 これでは農業を営むのには困ります。いつ種をまくのか、いつ田植えをするのか、年によってずれてしまうからです。これを解決するために「二十四節気」(にじゅうしせっき:立春、大暑など、季節の変わり目を表す24の日)が定められていました。 でも一般の生活には大きな影響はなく、むしろ夜の月を見ただけでカレンダーがなくてもその日が何日であるのかわかって便利だったかもしれません。(三日月なら3日、満月なら15日) |
ちょっとトリビア |
明治5年、それも12月になって明治政府は太陰暦を廃止し太陽暦に変えました。これは世界の仲間入りをするために欧米諸国に合わせるのが当然の成り行きだった・・といえばそれまでですが、なぜそれ以前にしなかったのにこの年に実施したのか・・・ 実はこのとき明治政府は公務員に給料すら払えないほど絶望的にお金が足りなかったのです。しかもこの年は閏月のある年・・つまり1年が13ヶ月もあったのです。言い換えれば・・給料を13回払わなければならなかったのです。そこで太陽暦を取り入れて1年を12ヶ月と決めてしまえば1ヶ月分の給料を払わなくてすむ!というわけでぎりぎりの12月にあわてて太陰暦を廃止したのだと言われています。 もし今も太陰暦が用いられていたら・・ 13ヶ月の年は日数が385日ぐらいあり、12ヶ月の年は355日ぐらい・・ 学校ではこの差があっても同じだけの量勉強するのだとしたら、学年によって大変な事になりますね。 |
まめこぞう