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第30話 神井戸

2005年10月30日 00:00

第30話 神井戸

第30話 神井戸(かめいど)


県立座間高校の前の崖(がけ)からわき出している泉です。生活のために絶対必要な水を作り出してくれるこの場所を、昔の人は神の井戸と考えて神井戸と呼ぶようになったのでしょう。「かみいど」とも呼ばれますがこれがなまって「かめいど」ともいいます。
水の底はきちんとした切り石が敷き詰められていて周囲もしっかりした石段で覆われています。こんなにきれいに整備されているわき水は市内ではここだけでしょう。


水のわき出している場所にはいつのころからか水神様の小さなほこらがまつられていて、ここが神聖な場であることを示しています。これはわき水に感謝する気持ちの表れであると同時に、ここで無謀な使い方をさせない意味があったでしょう。無謀って?たとえば一部の人が自分だけのものにしてしまうとか、ひどい使い方をして汚してしまうとか・・・神様がまつってあるところではそんなことは許されない!というのが古くからの考え方ですからね。


 今でもその水は地元の人々の生活の中でいろいろなことに使われています。
まずダイコンを洗っているのを見たことがあります。土を洗い流してもそれは汚いものではありません。夏の暑い日、スイカが浮かべてありました。冷たいわき水で冷やしたスイカって、冷蔵庫で冷やすより冷たくはないはずなのに、なぜかすごくおいしいんですよね。またある時は、今では珍しい木の桶(おけ)を洗っている人がいました。何の桶でしょう?見に行くたびに違ったものを洗っている風景が見られ、なかなか楽しいです。
昔は衣服などもここで洗ったとか。特に鈴鹿明神のお祭りでおみこしを担ぐ人が着る白い着物を洗う場所だったそうです。神社の神様の前で着るものですから、神聖な水で洗い清めたのですね。


 でも最近は本当に「いろいろなもの」を洗っています。ゴム長靴が水に沈めてあって汚れがふやけた頃ごしごし洗い出したり、平日のお昼頃や日曜日などは自動車を泉の横に止め、バケツで水を汲んでばしゃばしゃと車体を洗い出す人もたくさんいます・・・ありゃりゃ・・ここを大切に守ってきた人から見ればちょっと残念なことかもしれません。でも飲み水としては使われなくなっている今、自動車ぐらい洗ったっていいのかもしれません。まめこぞうは何とも複雑な心境です。
先日はフジテレビの「きょうのわんこ」で、犬が毎日この泉に入って遊ぶのを楽しみにしているという話が紹介されました。神の井戸に犬がジャバジャバ・・うーん、犬が好きな神様かもしれないしなぁ。人間の子どもがジャバジャバ入ったら?それはほほえましい光景でしょうか?やっぱり水を汚しちゃいけないと注意すべきでしょうか?うーん・・・

神井戸坂


神井戸の横からガケを登る小さな坂道で、台地の上に住む人々が水をくみ上げたり、田から稲を運び上げるのに利用したので「水くみ坂」「稲あげ坂」とも呼ばれていました。
今では座間高生の多くが通学につかう道になっています。つい数年前までは江戸時代と変わらない切石を並べた薄暗い感じの階段だったのですが、最近コンクリートのきれいなものに生まれ変わり、手すりもつきました。
この坂の上の細い道は古い鎌倉街道です。座間高生は登り切ってから左に折れて座間駅に向かいますが、その途中には昔ながらのお墓が・・・座間高生はここを「お墓道」と言うんだそうです。卒業してもきっとこの坂とお墓道のことを一生忘れないでしょうね。部活動で帰りが遅くなったときはけっこう怖がる人もいるとか・・・
出ないとは思いますが・・出たらまめこぞうに教えて下さい。すぐ会いに行きます。

第29話 龍源水

2005年10月10日 00:00

第29話 龍源水

第29話 龍源水(りゅうげんすい)


さて、まめこぞうの旅はもともと市内小中学生の皆さんに向けて書いているのですが、生徒さんたちから最もリクエストが多いのが座間のわき水です。
それにお答えして今回からわき水をシリーズでお送りしましょう。まずその第1弾は龍源院にあるわき水、龍源水です。

龍源院


室町時代の中頃、応仁の乱が始まる数年前の寛正(かんしょう)二年(1461年)、桜田伝説の渋谷高間(しぶやたかま)が妻と娘達の死を知ったあと僧となり、自分の家を寺にしたのが寺の始まりといわれています。(まめこぞうの旅、桜田伝説参照)
もとは護王姫神社(まめこぞうの旅、護王姫神社参照)の近くにあったようですが、戦国時代に今の場所に移されたとしてもすでに400年以上がたっています。

崖(がけ)とわき水


 座間市は平らな部分と崖の部分からなる何段もの階段状の地形をしています。これを「河岸段丘」(かがんだんきゅう)と呼びます。ここに数万年前まで相模川の河原だったあとを示すレキ層があります。座間市のわき水の多くはこのようなレキ層にしみこんだ水が、崖の部分でわき出してくるものです。
くわしくはまたいずれ・・・

龍源水


龍源院本堂の右手裏から清らかな水が豊富にわき出しています。これを「龍源水」(りゅうげんすい)と呼びます。参道の一番奥からわく水は、水面にさざ波を立てるほどの勢いがあります。
池のように水が広がった部分は昼でも薄暗く、まるで別世界・・・ここにいるとお寺ができた戦国時代にもどったような不思議な感覚にとらわれます。

水がさざ波を立てるほどわいています

池のあたりは昼なお暗く・・

さらに墓地の横をとうとうと流れて寺の外へ出た水は、平成のはじめまで生活用水として野菜や食器を洗うのに使われていました。まめこぞうは昭和の終わり頃、タワシとお茶碗が置いてあったのを見たことがあります。

ホタルの公園


 龍源院のすぐ前は「ホタルの公園」と呼ばれ、この水の流れを中心に周辺が町ごと整備されました。四季折々の花が咲き、水の流れる音と虫の声だけが聞こえるのどかな雰囲気の中でベンチに腰掛けていると、悪いストレスなんか消えてしまいます。

 水の中には小魚の他にカワニナやシジミ、ニホンザリガニ、サワガニ、そしてホタルの幼虫などがいます。どれも都市化が進んだ町では貴重な生き物ですが、特に夏になると光るホタルが見られます。といっても完全に自然のホタルというわけではありません。地元の人々がホタルとその餌になるカワニナを努力して育てていらっしゃるのです。
ニホンザリガニって、アメリカザリガニとは違って泥と同じ色をしていて少し小型のザリガニですが、今では珍しい生き物なんですよ。

左はシジミ(死んでいますが)、右はカワニナ、上はサワガニです。

弁財天(べんざいてん)

 水のわき出す所の横にはちょっと変わった石像がまつってあります。それはとぐろをまいた大きな蛇の上に人の首が乗っているというものです。これを龍源院では「弁財天」と呼んでいますが、

この石仏、もともとはここにあったほらあなの奥に安置されていましたが、穴がくずれてしまったために外に出され、その後お堂が造られて今のようになりました。ちなみに崖はちょっと前まではレキがむき出しだったのですが、今は竹や木が生えて森のようになっています。

弁財天か宇賀神(うがじん)か


 弁財天というのは水神様で、普通、琵琶(びわ)を持った女性として描かれることが多いようです。七福神のメンバーの一人ですね。でもここにある弁財天は蛇と首・・似ても似つかないものですが、本当は宇賀神と呼ばれる神様なのです。

 宇賀神とは日本古来の神様で、本来は稲そのものをご神体とし、やがて水のわく所を守る水神様としてまつられるようになりました。宇賀神の姿はとぐろを巻いた蛇の体に人の頭を乗せたものが多いのですが、人は女性である場合も男性の老人である場合もあります。蛇と首は別々のものではありません。宇賀神とはこのような姿をしているのです。

 龍源院にある石像についてある解説には「女性の首が乗っている」と書かれていますが、それは間違いです。おそらく髪型を見て女性と思われたのでしょうが、これは男の神様です。よーく見て下さい。男でしょ?
ほら、ひげがはえてる。

 仏教が伝来して国内に広まっていったとき、もともと日本にあった神様と新しく入ってきた仏様はあまり区別されることなくごっちゃになってしまいました。これを神仏習合(しんぶつしゅうごう)と言います。同じ水をまつった神様と仏様は同じように扱われ、そのうち名前も姿もごちゃ混ぜになったのです。ですからある場所では宇賀神の像を弁財天と呼び、またある場所では弁財天の像を宇賀神と呼んでいても、「それは間違っている!」とは言い切れないのです。その土地の人が長い間「弁財天」と呼んでいるなら、それは弁財天でいいのです。
と言いながら、まめこぞうはやっぱり龍源院の像を宇賀神と呼びたいのですけれど・・・

不動明王(ふどうみょうおう)


 龍源水の池がせばまった所に橋がかかり、その横に不動明王の石像がたっています。
背中に炎を燃え上がらせたこの仏様がなぜ水の中に?もともと水を守る仏様というわけではなかったのですが、滝のような所で修行(しゅぎょう)をしていた修験者(しゅげんじゃ)がその場に不動像をまつっていたことから水との関わりが強まって、いつのまにか水神と同じように水のわく所にまつられるようになったと思われます。市内には不動明王の石像や木像がいくつもありますが、わき水に関係あるものとしては他に心岩寺(しんがんじ)の池にもあります。

おまけ

ホタルの公園、この日は萩が美しく咲いていました。

公園に作られた水車。昔は本物が回っていたとか・・

まめこぞう

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