第27話 雷電が座間に残っていた

第27話 雷電が座間に残っていた

第27話 雷電が座間に残っていた


このまめこぞうの旅では何度も高座海軍工廠の話題を取り上げ、「何か残っているようならお知らせ下さい」とうったえてきましたが、来ました!60年間保管されていた歴史が!

雷電残存の知らせ


まめこぞうの旅をご覧になった南栗原のある方(仮名:○さん)から、「うちに雷電の機体の一部がありますよ。」と教えていただき、さっそく拝見してきました。
これは高座工廠で終戦時に廃棄された雷電の一部で、○さんの庭にある井戸穴に子供が落ちたりしないように、ふたをするのにちょうどいい大きさだったのでもらってきたのだそうです。それから60年、今ではもっと頑丈なふたがあるのですが、その上にかぶせるように置かれてまだ健在です。

○さん宅にあった雷電の一部
人の立っているところが操縦席

終戦時、高座工廠に取り残されていた雷電の未完成品

設計図通りの形状


カーブした外観から見て、機体の中心部分であることは間違いありませんが、中央付近にふたつきの丸い穴が4つ、T字状に並んでいます。また、それとは反対側には台形のパネルが2つ、しっかり取り付けてあります。これらを手がかりに別のところで入手した雷電の設計図を見ると・・・・
なんと操縦席のすぐ目の前の部分にこれとまったく同じ形の穴が書いてあるではありませんか!設計図の文字が小さすぎて、何の穴なのかは読み取れませんでしたが、丸い方は位置から考えてエンジンに何かの操作を加えるためのものでしょう。(これもご存知の方がいらっしゃったら教えて下さい。エンジンオイルを入れるとか、プラグを取り付けるところとか?)

エンジン上部にある丸い穴
右の設計図とまったく同じ形状をしている

雷電の設計図
赤く塗った部分が今回発見された部品
中央にエンジンに関わる穴が表示されている

注!写真では直射日光が当たっている部分と木の影になっている部分の色が違って見えますが、このような模様はついていません。


未完成品だったから残った


この「機体の一部」は前の部分にリベット(釘とは違ってたたきつけて金属板を留める部品)で留めた跡がありません。また風防(操縦士の前の透明部分)を取り付けた跡もないので未完成品だったものと思われます。終戦時に進駐軍によって厚木飛行場や高座工廠に残された日本側の機体はすべて破壊され、谷に投棄されたそうですが、この「機体の一部」は組み立てられることなくうち捨てられていたのでしょう。だからこそ個人が持ち帰ることもできたのでしょう。

操縦席直前にある台形のふた

操縦計器を固定する部分
風防を取り付けた跡がない

操縦席前、台形のふたの裏側
これはリベットではなく、ねじでとめてある


操縦計器を固定する部分の裏
コードなどを通したと思われる


ジュラルミンは軽い!


さて、機体の一部とは言ってもこんなに大きな金属の板です。かなり重いだろうと思いながら片手で少しずつ力を加えてみました。すると!なんと軽々持ち上げることができてしまったのです。何という軽さでしょう!飛行機はスピードを上げるためにできるだけ軽くしたという話は聞いていましたが、こんなに軽いなんて!これが戦闘機か!
しかもただ軽いだけではなくそれが60年もの間雨ざらしだったのに、ぼろぼろにもならずにきちんと形を保っていたということにただただ驚きました。
しかしその一方で、もし敵の機銃掃射にあったら・・・それはひとたまりもないものに違いないということも実感しました。

残して欲しい昭和の遺産


○さんのお宅ではすでのこの「機体の一部」を必要とはしていらっしゃらないようですが、将来は公共の場で保存ができるといいのですが・・それも目に触れない収蔵庫とかではなく、市民が直接見ることのできる状態で展示し、工廠と戦争について考える場をつくる価値があると思うのです。
そのような場所や保管の手間をかける余裕はどこにもないでしょうかね・・・